熱帯独特の原色に彩られた『亜細亜の混沌』に満ちあふれた都市が、タイのバンコク。
尽きない好奇心のままに熱帯の陽射しの中をひたすらに移動してると、気付いたときにはもうへろへろになっちゃってることも多い、はるるさん。
そんな時に、ひそかな避難場所にしているスポットが、あっちこっちにあります。
ちょうどニャンコが、あったかいとこや涼しいとこなんか、いちばん居心地の良い秘密の場所をいっぱい知ってるみたいなもんで。笑
なかでも、はるるにとっていちばん思い出深いのが、スアン・パッカード宮殿。
ちょっと地味で小規模なところなので、日本人の観光客の姿もほとんど見かけたことないけど、いい場所だよ〜♪
ここは1980年代にホームグラウンドにしていたバンコクの下町プラトゥーナム地区から、歩いてもすぐの場所にある、良く整備された庭園で、タイの伝統建築が点在してます。
しずかで、涼しくって、あまり人に知られてなくって、その上にとてもうつくしい・・・ちょうど、名作物語で読んだ「ひみつの花園」みたいな場所なんです。。

いちど。
ひどく参ったことがあって、この場所までサムローを飛ばして来て、ひとりで数時間ぼけーっとした時がありました。
テラスで水辺を見ていたら、そんなことを思い出しちゃった。
あの時、かすかな風が、わだかまっていた心をからっぽにしてくれて、ずいぶん救われた思いが。
右も左も判らないタイ初心者の時代に、下町で知り合ったふつうのタイ人のともだちが、互いに言葉が不自由なまま案内してくれたのがここ。
都会の喧騒の中でひっそりとたたずむエアポケットのようなここは、タイ建築様式の粋を結集した建物として名高いもの。
そもそも最初は1952年に、ラーマ5世の孫、チュンポット殿下夫妻により迎賓用として建てられた建物らしい。
夫妻は芸術に造詣が深く、それぞれの古建築の内部にタイのアンティークやアジア各地の美術工芸品を収集していて、鉱物、クリスタル、陶器などを集めた一棟もあって、退屈させない。
ごちゃごちゃした下町の活気ある市場で有名なパトナム(日本では、プラトウーナム)の直ぐ近くなので、その真ん中に立ってるバンコクでいちばん高い高層ビルも、中庭から間近かに見上げられる。
各種の高価な宝飾品が、こんな風に重ねられて、惜しげもなく無造作に展示されています。
どこ吹く風のペリカンと,天使うさぎが、なにかおしゃべりしてます。
BTSのパヤタイ駅から歩いても5〜6分ほど。
高層ビルが建ち並び、交通量も多いシィーアユタヤ道路沿いにあるけど、一歩中に入ると静かな別世界という感じ。
木が生い茂り、花が咲く美しい庭に高床式の住居が何棟かあり、渡り廊下式の回廊でつながっています。
所有者である王族の意向で、現在のここの入場料はすべて、新進芸術家のための奨学金として使われているようです。・・いいなあ。
正統的な美術品やアンティークばかりでなく・・。
あやしい雰囲気漂う耽美的な幻想絵画も、多数コレクションされてて、なんだかうれしい。
建材として今は伐採禁止措置が取られているチーク材が豊富に使われているスアン・パッカード宮殿の別棟は、17世紀にアユタヤーで建てられた家を移築してます。
カムティエン夫人の家は、19世紀中頃にチェンマイに建てられた民家で、当時の家庭内の雰囲気がそのまま再現されていい感じ。
本を作るにはなんといっても、紙が必要ですよね。
けど、タイは熱帯のせいか紙を作るにふさわしい木を発見できなかったようです。
古い経典などは、「おうぎヤシの葉」を拍子木状にし、それをつなげたものに書いてあります。
これを「バイラーン」と言って、バンコクの国立図書館にはたくさん展示してあります。

そしてタイは暑い国なので、なんといっても、虫害が保存の敵。
現在のバンコクでも、古い本を白アリさんに食べられちゃった人がたくさんいます。

そんなワケで、タイでも貴重なバイラーンは池の真ん中に立てた書庫に保存されていたそうです。
とりに行くときは、ボートに乗って行くんですよね。
そんな、池の中の書庫の実物は、スアン・パッカード宮殿で見ることができます。

こないだ(去年)の旅行で、およそ10年ぶりくらいの久しぶりにスアン・パッカード宮殿を再訪したときの写真を、ちょっとだけここで公開。
最初に入った時(20年くらい前)の入場料金は15バーツ、そのあと値上がりしてしばらく30バーツだったんだけど、現在はクラフトワークの植物性うちわの記念品がオマケに付いて100バーツになってました。
現行レートで270円くらいになるかなあ・・。

「バンコクで暮らしていると、プーケットやピピでの出来事は、別の世界のようだ」と、
タイの首都で暮らしてる友人からのメール。
それなら、数千キロの海原を隔てた北の島国で日常を送っている自分にとって、南タイの海辺の世界はただの幻想世界になってしまうんだろうか。。。